セブ島へ海外移住したいと思っていますが、実際のところセブってどうですか?
フィリピン留学から海外への移住を考えるシニア層の方や海外で働きたい英語の初心者の方は留学生の中に少なくありません。
そして良く個人的に「海外移住でセブはどうですか?」と聞かれますが、東南アジアを3ヶ月掛けて周ってみた私にとっては、今のところセブが一番住みやすい国です。
結論から言えば「日本の収益を基準に働ける人」にはセブはストレスフリーで最高ですし「現地採用の仕事に頼らなければいけない人」にはセブは厳しい世界です。
今回は100%私の独断と偏見の視点からのセブへの海外移住について書いてみたいと思います。
セブへ海外移住したい
セブへの海外移住は世界中を見渡してもかなり簡単な方になります。
35歳以上であれば1万ドルから5万ドルという資金があれば簡単に永住ビザが取れます。
タイのようにVISAの購入ではなく、費用を預託金として銀行に預ければ良いだけなのでハードルは非常に低いですね。
また、生活水準も所持している資金に合わせて「日本と変わらない生活費で優雅に暮らす」こともできますし、「フィリピンで普通の生活をすれば日本の三分の一の低予算」で暮らしていくこともできます。
しかし、セブ島への海外移住は「資金に充分な余裕」が無ければ決して日本より楽でのんびりした暮らしができるという訳ではありません。
セブでの移住生活はイライラする事の方が遥かに多い
こういうのも何ですが、私自身はフィリピンに6年住んでいるからと言って、セブが大好きでもありませんし、フィリピン人の優しさやホスピタリティに心を奪われた訳でもありません。
マニラの都心に比べればセブの方が断然好きですが、私がセブを中心に動いている理由は単純に仕事だからですね。
フィリピンに関わっている理由も「セブを盛り上げて、雇用率を高め、現地の人がもっと良い生活ができるようになる手助けをしたい。」などという熱い志もありません。
そういった思いで関わっている方は素晴らしいと思います。
さらに言えば、私自身はどちらかと言えば、日々の生活ではイラッとすることの方が遥かに多いです(笑)
スーパーのレジの遅さ、道の歩き方、交通マナー、自分のミスは認めないなど、日常生活でイライラする例を挙げ始めたらきりがありません。
フィリピンの人は保身のための嘘が多過ぎる
フィリピン人スタッフを統括して一緒に働いて生活してみればすぐに分かりますが、小さなことでも保身のためならすぐに嘘を付く人がかなり多いです。
日本人でもそういった人はいますが、フィリピンは圧倒的に割合いが大きいですね。
慣れない内は信用してしまって落ち込んだりしてしまうので、真面目な人ほどストレスが溜まってフィリピン人が大嫌いになってしまう場合があります。
ただ、子供のような嘘ばかりですぐに分かりますので、慣れてしまえばすぐに対処力は養われますけどね。
セブに海外移住しても自分の時間を大切にはできない
年金生活でセブへ海外移住する人は働く必要がないので良いですが、現地で働きながら生活しなければいけない人もいますよね。
すると、セブの場合は多くの人が日系の会社で働くことになります。
そして、セブで日本人を雇う多くの会社は、日本でアルバイトをするより安い給料にも関わらず、日本人として日本と変わらないレベルの責任を求めます。
もちろん、むやみな残業や理不尽で無駄なストレスも普通に有ります。
私の場合は学校で働いていましたが、毎日1時間から2時間は残業がありましたし、忙しい時期は4時間、5時間と残業することもありました。
コールセンターなどで残業が多いというのは聞きませんが、特に学校の寮に居住するタイプの英語学校のマネージャークラスだと24時間仕事と言っても良いくらいに仕事漬けになります。
私も2年間は寮生活で働きましたが、生徒さんにとってはそこにスタッフが居れば勤務時間か勤務時間外かなんてことは関係ありません。
中には深夜に部屋を訪れて「部屋に出たゴキブリを退治してくれ」という人もいましたからね。
セブ島の現地採用の給与は低すぎる
この記事を書いている時点で、セブにある求人を見たところ初任給は下記のような水準です。
・コールセンター 75,000ペソ(住居手当なし)
・学校スタッフ 50,000ペソ~55,000ペソ(学校寮があれば寮費は無料・食事会社負担)
・ダイビングショップスタッフ 25,000ペソ(住宅・食事会社負担)
マニラだと大体の職種の下限が75,000ペソほどですので、セブは相当給与水準が低いですね。
この原因は、セブは英語の勉強が無料で出来る変わり無料で働くインターンにたくさんの応募があるので給料水準はなかなか上がらないというのも大きな理由の一つです。
私の場合は、英語学校のスタッフとして現地採用でしたので給料は5万ペソほどでした。
5万ペソと言えば2015年頃であれば13万円、今の相場なら10万円と言ったところですので、確実に日本でアルバイトしている学生より給料が低いですね(笑)
私の場合は、ほぼ自分の裁量で好きなように学校を運営できる状態で働いていたので安い給料でもやりがいがあり、今に繋がっているので結果としてよかったです。
しかし、コールセンターで働く人、他校で働く人の話を聞いている限りは、日本で働いた方が遥かに良いのにと思う待遇が多いのも事実です。
まだまだセブで働く日本人には、タイのバンコクほど深い闇はありませんけどね(笑)
日本の会社から出向という形でフィリピンに来るのであれば、住居や車など何もかも会社が用意してくれた上に、日本の給料で贅沢な暮らしが可能ですが、現地採用となるとそんな夢のような話は稀です。
もちろん、私のような学歴の無い40代ではなく、20代・有名大卒・ビジネス英語可・専門職など条件が揃っている人であればもっと良い給料の仕事がいくらでもあります。
そういった人は海外での仕事は先進国や東南アジアならマレーシアやシンガポールを目指すことを強くおすすめしますね。
セブで悠々自適な海外生活ができるのはお金持ちだけ
上の給与水準でも書きましたが、セブで悠々自適な生活というのは日本レベルの所得があって初めてできることです。
物価にしても、平均所得のフィリピン人と同じレベル(月収30,000円位)で生活するのであれば非常に安いです。
しかし、日本人としての生活を確保したいのであれば日本より断然割高になります。
例えば、セキュリティがしっかりしていて、日本人から見て綺麗と呼べる部屋を借りるだけで、安くても1ヶ月で40,000円から50,000円はします。
さらに、ちょっと日本人の友達と外食に出たら1人1,500円~2,000円は必要です。
友達が多い人は交遊費と毎日の食費だけで安く見積もっても月に30,000円は掛かります。
このように思うかも知れませんが先にご紹介した通り、セブの現地採用の手取りは初任給で月10万程度ですからね。
一般的な暮らしをしている日本人であれば、家賃・光熱費で50,000円、1ヶ月の食費で20,000円、その他で必要になる雑費を考えれば手元には月に20,000円が残るか残らないか程度じゃないでしょうか。
その手元に残った20,000円の中から出す1,500円は痛いなんてものじゃないですし、それだけ出費しても、日本と同じような生活はできません。
フィリピンの建物は見た目だけが綺麗で使い勝手や質は悪いですし、食材も日本と比べると高いのに断然劣ります。
ちなみに、私は外国人向け50%フィリピン人向け50%レベルのコンドミニアムでの1人暮らしです。
家賃・光熱費・食費など全て合わせて月に50,000円~60,000円程度で生活していますが、セキュリティが甘いので空き巣にやられたこともあります。
そういった被害額を滞在年数で割り振ると、もうちょっと良い所に住めたのに・・・と切実に思います(泣)
当然、月10,000円以内の安いアパートも借りられます。
しかし、安いアパートには貧困層の人も多いですし、そんな中に日本人が住んでいると分かればすぐに狙われますので、家賃を安く抑えることは難しいですね。
セブ島でもヘルパーを安く雇って楽はできない
セブでは、月に10,000円程度でお手伝いさんを雇うことは確かにできます。
しかし、その給与レベルのお手伝いさんだとかなりのトラブルが発生します。
・物やお金を盗む(最初は小さく、徐々に大胆になる)
・突然来なくなる(しかも絶対来てくれないと困る時に来ない)
・何回言っても同じミスをする(確信犯)
・舐められると手を抜くし、怒ったら来なくなる
下手に安い費用で雇用しようと思うとこのようなトラブルばかりで余計に疲れます。
トラブルの度に何度もお手伝いさん探しをしてる人もかなりいてホントに大変そうです。
かと言って、高い給料を払えば良い人が来るかと言えばそうは簡単に行かないのが難しいところです。
先生レベルで教育を受けている人でも学校で盗難騒ぎがありますからね。
セブへ海外移住しても英語環境で生活はできない
確かにフィリピン人の英語力は東南アジア圏では高いです。
貧富の差で学校に行けるかどうか、子供の内に英語教育を受けているかどうかなどでレベルの違いはあっても多くの人が英語を話します。
街中の看板も日本人が意味を理解できないレベルの英語を使われている場合も当たり前にあります。
しかし、実際にセブで生活する上で英語を耳にすることはあっても、英語が話せないと生活ができないかと言うとそんなことはありません。
英語を使ったとしても、単語レベルの片言で十分に乗り切れます。
相手が英語を話しているのに日本語まじりの英語しか使わずに生活している人なんて、セブで働いている日本人でもゴロゴロいますね。
海外へ移住するのに英語が必要というシニアの留学生も良くお会いします。
しかし、住みたいだけなら2ヶ月から3ヶ月勉強すれば身につく中学生レベルの英語で十分ですね。
さらに言えば、フィリピンで日本人が求められる仕事は日本人としての信用と日本人に対応するための日本語とプラスαで必要最低限の英語だけです。
日本人として、日本人に対応する労働力を求められているだけなので、高い英語力は不要です。
フィリピン人の友達を作れば多少は英語を使いますが、訂正されない英語や復習の無い会話で英語力が伸びることはまずありませんので意味がないです。
フィリピンは長期滞在するためのVISA延長が簡単
フィリピン留学をした人がフィリピンに移住することは良くあります。
その一番の理由は、先にも書いた通りフィリピンで生活するためのVISA延長が世界でも珍しいほどに簡単だからです。
フィリピンは観光VISAの延長を続けるだけで、なんと3年間も滞在できてしまえます。
もちろん、そこまで一度も出国せずに観光VISAの延長を続けていると隠れて仕事でもしているのかと要らぬ疑いをかけられてしまいますので、1年以内に一度は出国した方が良いです。
しかし、それで何度もフィリピンに出入りしていても、他国のように怪しんで「何度も出入りしてるけど怪しいことをしているんじゃないのか?」など追求されることもなく簡単に出入りできてしまいます。
態度が悪い、風貌が怪しい、タトゥーをしているというような人であれば止められる可能性がグッと上がりますけどね。
フィリピンは移住者に優しい退職者向け永住ビザSRRVがある
観光VISAの延長が面倒であればフィリピンの指定銀行にたった10,000ドル~50,000ドル預けるだけで永住VISAのSRRVが取得できます。
SRRVの正式名称は「Special Resident Retiree’s Visa」(特別永住退職者査証)で、35歳から利用することができます。
年金受給者なのか、運用の有無などで変わりますが、50歳以上の場合は$50,000を預けます。
そして、そのお金はコンドミニアムの運用などに活用できます。
当然、永住権を取得するのに手数料は必要ですが、その預けたお金はVISAが不要になった時にVISAを返却すればしっかりと全額返却されますので手数料以外にリスクはありません。
夫婦や家族の帯同を考慮しているので、2名まで追加料金無しで移住することができます。
東南アジアの移住先で人気のマレーシアだと50歳未満で約1,600万以上の財産証明、月額約30万以上の収入証明、さらに仮申請が通ったらマレーシアの銀行へ約1,000万の預金など、そこまでしても10年しか認められませんからね。
1ヶ月から2ヶ月に一度移民局へ行って半日ほどでVISAを延長すれば、何年でも自由に住めるフィリピンへの移住の気軽さが分かると思います。
セブへの海外移住・まとめ
全体的にセブへの海外移住について否定的な内容になっていますが全て現実です。
ただ「フィリピンは移住先にめちゃくちゃ良いですよ」と言うほどの魅力は感じませんが、最初に住んでみる海外としては非常お手軽なのでおすすめです。
手始めに数週間のフィリピン留学をしてみて、どのような生活ができそうか下見することもできますし、下見をしながら英語の勉強ができますので、願ったり叶ったりだと思います。
中には留学中にフィリピンで起業している日本人オーナー達と会って話を聞いて、そのままビジネスをしてしまう方も少なくありませんね。
セブに海外移住するのであれば、セブで滞在できるスキルを身に着けてフリーランスとしてノマド的に仕事をしながら生活するのが一番おすすめです。
スキルを身に着けて現地採用の仕事に頼らず、日本での収益を基準に働けるのであれば、セブはストレスフリーで最高ですね。
何度でも言いますが、新卒や20代の若い人が海外での就業経験を積むのにセブに来るのは一番お勧めしませんよ。